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***出発は千人町から***
徳川家康は甲斐・武田家滅亡後、武田家の家臣であった下級武士を同心として取り立て、江戸の西・甲州口の押え
に当たらせたが その規模は同心千人までに拡大。文禄2年(1598)、彼らがこの地に拝領屋敷を得て移り住んだことで
千人町と呼ばれるようになった。
日光東照宮に家康の遺骸が改葬され三代将軍家光の墓が作られると、幕府は千人同心に 日光火の番 を命じたことから
千人同心は交代で日光まで通い東照宮の警備に当たっていた。 |
街道地図 |
千人同心街道のスタートは東京・八王子の千人町から。 JR中央線の西八王子駅を下車して「甲州街道」(左)に入ると交差点の向うに石碑らしきものが見える。近づいてみると「馬場横町」(右)と刻まれた石碑であった。
江戸時代、千人隊拝領の馬場があったことから馬場横町と呼ばれるようになったという。現在の地名は千人町二丁目。
千人同心街道のスタート地点をここからとした。 |
10分ほど歩いて追分町交差点まで来ると交差点手前に「甲州道中高尾山道」(左)と刻まれた道標が建てられている。
右側面には「あんげ道(陣馬街道の別称)」と刻まれているのだが補修跡が痛々しい。
コメント:以前は歩道橋の下に設置されていたが、その後、歩道橋から10mほど西八王子寄りの歩道際に移設。
交差点から左に曲がり陣馬街道に入ると「千人同心屋敷跡記念碑」(右)が。傍らの説明板に「最初は五百人町と呼ばれていたが寛永年間(1624~)ごろから千人町と呼ばれるようになった」 とある。 |
千人同心街道は交差点を右に曲がり甲州街道を東へ。10分ほど歩くと本郷横町東の交差点向うに「見世蔵」(左)があるではないか。小江戸川越では多く見かけるが八王子では珍しい。店の御主人に伺ったところと築130年ほどだという。 店先に荒物雑貨が所狭しと並んでいるのがなんとも懐かしい。ところが、もっと懐かしいものが。
交差点を右に入って数分、「産千代稲荷神社」(右)は佐渡や伊豆の金山統括、一里塚建設や千人同心の創設など八面六臂の活躍をした大久保長安の陣屋があった場所。この神社も長安が創建したという。 |
街道に戻り八幡町交差点まで歩いたら甲州街道と別れ左に曲がり国道16号を歩くことに。
10分ほど歩いた所にあったのは「極楽寺山門」(左下)。この門は固く閉ざされているので ちょっと手前の路地を入った通用門から。 |
創建は永正元年(1504)。 天正18年(1590)、八王子城落城の際に戦火で伽藍を焼失したが、翌年、大久保長安らの助力で現在地に再建。現在の本堂は享保13年(1728)に建てられたもの。
本尊は阿弥陀如来立像だが別名「歯吹(はふき)如来」という。唇を僅かに開き歯が見えるという珍しい仏像だそうだが拝観はできない。本堂前の覆堂の中に横山宿の建設に奔走し草分け名主となった「長田作左衛門の墓」(右)がある。 北条氏輝の家臣で 後に前田利家にも仕えた人物。 |
極楽寺を出たら浅川橋を渡り、その先の川口橋を渡ったらすぐに左へ入ると旧道に復帰できる。
といっても住宅地の中の道。古い航空写真を見るとこの先は今とかなり道筋が変わっているので近い道を歩くことに。 |
ちょっと広い道に出たら右へ曲がり すぐに左へ曲がると道路際に「地蔵が2体」(左)。花立て台に「昭和十年開眼供養」と刻まれていることからそれほど古い地蔵ではない。
地蔵の前から住宅地の中の緩い坂道を上っていくが この道は旧道でやがて国道16号に合流。
合流した国道16号を「稲荷坂」(右)と呼んでいる。合流点左側の細い道を上ると稲荷坂の語源となった覺祐稲荷神社があったのだが国道の拡幅工事で近くの民家の庭内に移転してしまった。 |
旧道は左側の細い道を上り右側のひよどり山に向かっていたが国道の切通しで寸断。 |
仕方ないので国道の稲荷坂を数分上り右に入ると旧道に復帰できる。この先は「ひよどり公園の前」(左)を通ってうねうねと曲がった道を道なりに上っていく。
頂上までたどりつくと三叉路になっているではないか。右へ行くのが旧道か、左が旧道か、どっちだ?
やっと出会えた地元の人に聞くと「左が昔の道だ。旅人が通ったのはこっちだ」ということだが地図を良く眺めると右の方が自然の流れ。ということで「右の道へ」(右)。
コメント:Googlの地図にも右側に「日光脇往還」の表示がある。
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中央高速を渡った先も旧道が不明になっているが道なりに下って行き中央高速のインターチェンジ下を抜けると石材店の前に「石仏が4体」(左)。どうやらこの道が旧道のようだ。左側の笠付き庚申塔には享保十六年(1731)の文字が刻まれているのでざっと280年ほど前に建立されたもの。
街道はその先で「国道16号」(右)に合流。広~い国道に出たら一気に現代に引き戻されてしまった。 |
歩道橋で左側に移りしばらく歩くと神明神社が高台に鎮座。「神明」というだけあって社殿の造りはきっちり神明造り。
その先の左入橋交差点で国道16号のバイパスと合流して緩い坂を上るのだが この辺りは「切通しの広い国道」(左)になってしまい旧道は全く探せない。
ほどなく下り坂になり多摩川を「拝島橋」(右)で渡ると最初の宿場である拝島宿が近い。 |
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