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(19)長岡宿
ながおかじゅく
水戸街道最後の宿場である長岡宿には旧脇本陣の木村家住宅が大切に保存されている。
大老井伊直弼暗殺の発端は長岡宿であった。安政6年、水戸藩攘夷派数百人が長岡宿に屯集。
その中心人物らが薩摩藩の浪士とともに翌年3月、桜田門外の変を起こしている。
街道地図
平成23年11月1日
小幡宿を出た水戸街道はほどなく国道6号に合流。国道を30分ほど歩き右側の旧道に入ると静かな旧街道が待っていた。
奥谷坂上まで来ると
「御霊
(ごりょう)
神社」
(左)と刻まれた石柱が目に入り誘われるままに鳥居を潜るとなにやら人だかりが。 村人が集まって神社の掃除をしていたのだった。 「水戸街道かい、元気だねー」「わしらも若いときはよく歩いたもんだよ」
神社の入口に狛犬ならぬ
「白い犬」
(右)が一頭。犬好きが黙っているはずが無い。思わず一枚。屋外の犬小屋に鎖でつながれていましたが昔はこうして犬を飼っていたもんだ。
御霊神社から街道に戻り10分ほど
歩いて渡る橋
「高橋
。なんだか
人の名前みたいだなー。
高橋の下を流れる川は
涸沼川
。
注ぎ先の涸沼はハゼ釣りで有名なんだそうだ。
高橋を渡って数分歩くとその先に歩道が
無い。と思ったら側道を下った所に人専用の
小鶴橋
が。
小鶴橋を渡ったらその先で左に入る道が
旧水戸街道
。
この先も主要道路から右や左の脇道に入ることが多い。
左の道に入るとそこは小鶴の集落。宿場や 間の宿 ではないが、ちょっとした商店街。
「佐久間米店の蔵」
(左)が立派。亀甲模様のなまこ壁が目を引くが
二階の窓が唐破風造り
というのも珍しい。
1軒置いた先の
「こどもや」
(右)は府中宿で多く見かけた看板建築。地元の人によると昭和初期の建物だそうだ。その先左側の たかぎ呉服店 も看板建築なのだが天幕で覆われ見えないのが残念。
ほどなく
諏訪神社
と刻まれた石柱が
見えたのでちょっと寄り道を。
秋ですね
〜
。街道を歩いているとたわわに実った
柿の木をあちこちで見かけるが、青空に映える柿の
実だったので1枚。
街道に戻る
と、その先左手は
如意輪寺
。
本尊の如意輪観音は徳川光圀の寄進と云われている。
県道に合流し長岡橋を渡った先の向こう側に、
またまた屋外で飼われているワンちゃんが。
この犬が可愛いんだ。
旧水戸街道はワンちゃんの少し先から右の道に入り坂道を上っていくのだが坂の途中からさらに右へ曲がってちょっと寄り道を。
向った先は
「水戸浪士の毛塚
(楠公社)
」
(左)。 安政6年
(1859)
12月 大老井伊直弼襲撃を決意した水戸藩脱藩浪士たちが長岡宿に屯集し決意の証として髪の毛を切り屯集地近くに埋めたという。後に地元の有志が髪の毛をこの地に埋め戻し南北朝時代の尊王の武将楠木正成にあやかって楠公社を築いたのだった。
街道に戻ってちょっと急な坂道を上っていくと右手に
「高岡神社」
(右)の鳥居が。 長徳元年
(995)
の創建というから千年以上の歴史を持つ神社。
街道に戻ると
「坂道を駆け上がるように屋敷塀が続いている」
(左)。なんだか旧街道の雰囲気が出てきたぞ。
坂道を上りきった先に見える板塀は
「木村家住宅の屋敷塀」
(右)。木村家は戦国時代からこの地に住み、江戸時代には脇本陣・問屋・庄屋を務めた名家。門が閉ざされているので塀越しに写真を撮っていたら折り良く木村家の当主が通りがかり「どうぞ見学していって下さい」と声を掛けてくださった。
お言葉に甘え塀の中へ。 安政4年
(1857)
の大火後に建てられた
「木村家住宅」
(左)は5年ほど前に数千万円を掛けて屋根の葺き替えや傷んだ箇所の補修を行ったそうだ。これだけの建物を個人の財力だけで維持するのは大変な事。頭の下がる思いである。
建物右手の
「土間から部屋を見ると」
(右)囲炉裏のある板の間に続き畳部屋、さらにそのずっと先に見えるのは上段の間。このような歴史的価値の高い建物の保存にはぜひ行政が手を差し伸べて欲しいものだ。
木村家住宅の斜め向こうに見える
「みくらや」
(左)は旧旅籠・中夷
(なかえびす)
。長岡宿に屯集し旅籠・中夷に陣取った水戸藩尊皇攘夷派の浪士が柱に切りつけたという
「刀痕」
(左)が今も店内に残されている。
みくらやから数分先の古民家は
「柏屋肥料店」
(右)。いつ頃建てられたのかは不明だが、瓦の乗った黒板塀と重厚な建物が人目を引く。
柏屋肥料店の先でビックリするような生垣を発見。
「白樫
(シラカシ)
の生垣」
(左)は横幅10mほどもあるが、なんと、1本の木で途中に支えなどは見えない。
さらに数分先の長岡十字路向こう側に思い切り枝を伸ばした
「ケヤキが2本」
(右)。樹齢は数十年程度だろうが伸び放題に成長した樹形が人目を引く。
旧水戸街道は程なく国道6号に合流。北関東自動車道のインターチェンジを越えると水戸に入り、今度は左の旧道に入っていく。
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